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第二話 ドローンの歴史 (1)

2019年03月28日

空中魚雷 「タケリング・ハグ」

 

ドローンの歴史は意外に古く、1918年第一次大戦中に完成したケタリング空中魚雷 (Kettering Aerial Torpedo) が元祖です。後にはケタリング・バグとして知られるようになります。これにより、主に軍用として利用が進められて来ました。実戦には投入されませんでしたが、ジャイロスコープ、気圧計、高度計等が投入されていました。米陸軍航空局の依頼により、ライト兄弟が設計に加わった機体で、75マイル(120km)先の目標を攻撃できる能力を持っていました。1944年には、米国無人爆撃機BQ-7(B-17爆撃機を無人化)の開発と第二次世界大戦投入がありました。対するドイツは、パルスジェット推進の無人航空機「V-1」を2万機以上実戦に投入しています。凄い数ですね。1990年代以降RQ-4 グローバルホーク、RQ-1 プレデターなどが開発されイラク戦争等実戦に投入されてきました。米軍は、2023年までに1/3を無人化する計画です。

BQ=7無人爆撃機

 

V-1 巡航ミサイルの原型ともいわれる

 

それでは、日本の改正航空法で対象となる無人航空機の歴史についてみていきましょう。

民間利用は、1987年ヤマハ発動機が世界初の産業用無人ヘリを開発し、農薬散布に投入しました。現在登録台数は2500台を超え、海外に輸出もされています。

ヤマハHPより引用

軍用は別にして一般的なコンシューマー向けドローンとして認知が広がったのは、2010年に発売されたフランスのパロット社のAR.Droneが世界的なヒット商品となり、人気を博したことが切っ掛けになりました。iPhone/iPad/iPod Touchなどに専用アプリをダウンロードすることで、それをコントローラとして使用できる画期的なクワッドコプターとして登場しました。また、スマホとWi-fi によりつながることで、機首と腹部に搭載されたカメラの映像をスマホの画面で見ながら飛行させることができました。要は今でいう FPV飛行 がすでにできていたのですね。6軸ジャイロ搭載、超音波センサーによる高度計測などGPSは搭載されていませんが、今のドローンとも遜色ないくらいの性能として登場しました。

AR.Drone

AR.Drone2.0

 

 

2012年に、現在も主力商品として発売されているDJI「PHANTOM」シリーズが発売されました。それまでデバイスごとにさまざまなメーカーから発売されていたものを組み合わせて構成していましたが、この機体はドローンが飛行するに必要な要素をすべて詰め込んだオールインワンパッケージの機体として注目を集めました。

モーターやESC、リポバッテリーはもちろん、飛行に必要な送信機、そしてDJIのフライトコントローラーまでを流線型のボディに詰め込み、簡単な設定で非常に安定感良く飛ぶドローンとして、リリース後爆発的なヒットを記録しました。 カメラやジンバルは別途用意する必要がありましたが、「ドローンを使った空撮」という新しいマーケットが登場した瞬間でもありました。

2014年「PHANTOM2 Vision+」という機体の登場が、大きなターニングポイントと

なりました。具体的には、まずDJIがオリジナルでカメラを機体に搭載しました。

それまでのGoProなどサードパーティのアクションカメラと決別したタイミングであるとも言えます。そして、そのカメラからの映像を、スマートフォンにインストールしたアプリで見ることができるようになったのもこの機体からです。この機体は世界中で大ヒットし、DJI社の躍進を大きく支えることになりました。

PHANTOM2 Vision+(DJIホームページより引用)